岡山大学山岳会・岡山大学山岳部

ネパール西部・ダウラギリ地域の学校と村落支援・交流活動

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ネパールでわしも考えた(山崎)

以前「インドでわしも考えた」というタイトルの軽めの本がありましたが、この本も今回のお題も、堀田善衛の「インドで考えたこと」が元ネタです。堀田先生は学生時代の私にとっての"知の巨人"でありました。

当時の私の"知の巨人"には、丸山眞男、それから「照葉樹林文化論」の中尾佐助もその一人でした。ここ15年ほど一緒に山岳ガイドをしているM兄は岡大生物科学研の頃なのか、中尾先生の講義を直に聞いたことがあるそうで、なんでもその講義よりも著作『栽培植物と農耕の起源』(貴重な岩波1969年の第6刷を拝借したままです・・・感謝)の方が10倍は面白いと、好悪是非定かならぬことを言っていましたな。この照葉樹林文化論からは、ナラ林文化、稲作の渡来と鉄の生産が絡みあった、『もののけ姫』の背景のような日本文化論への展開(中尾先生の理論ではありません)があって、これを語ると数時間かかるので誰かに気が向いたときに語らせて頂くとして・・・

前置きが長くなってしまいました。

今回はネパール辛口報告です。



何かというと、『観光登山という良く出来たビジネスモデルの中で、就学年齢にある子供の人権が危ういかもしれないということに、我々登山客が意識を持ったほうが良い。』 ということ。

ただし、論点は"登山"では無くて"社会"の問題であって、『観光登山』というビジネスモデルの是非論ではありません。



確かに『観光登山』についても、ハイキャンプまで食堂とキッチンとテントをシェルパメンバーが運び上げるという登山形態には本当にビックリしました。(今回のメラピークはルート状況から特殊な山なのかもしれませんが) 私の経験上、6500m級の未踏峰や8000m峰への遠征では、こんなことは考えられませんでした・・・

s-DSCN7471.jpg

外国人登山客が完全装備でゼ~ゼ~言いながら登るすぐ傍を、若いポーターたちが重い荷を背負いつつスニーカーで登ってゆく。時にはカレのベースキャンプからハイキャンプまで往復するとのこと。

完全装備の登山客と、スニーカーのポーター達・・・

私としては、心ならぬ茶番劇のような、恥ずかしいような気持ちを忘れることが終始出来ませんでしたが、シェルパもポーターも生活のために働いているのだから、『自分の考える登山は諦めて、今回は彼らの生活の糧になろう・・・』と自分に言い聞かせる必要がありました。

登山のタクティクスも全てシェルパ任せで、それはそれで『観光登山』としては良く出来た仕組みなのかもしれません。



しかし、今回少しだけ報告しておきたいのは、そうしたポーター達の中に、稀に就学年齢の子供たちがいるらしいということです(我々の隊ではありません)。

現在のネパール観光登山では、サーダー(シェルパのボス)がトレッキングツアー会社から仕事を請負い、自分の率いるグループで仕事をこなすようになっていますから、サーダーとしては出来るだけ人件費などの経費を削った方が利益になります。その結果、人件費の安い若年層を雇用することになるのでしょう。

就学年齢(日本では満15歳での3月31日まで)や児童労働の基準は、国や文化によって様々なルールがあるでしょうから、それを一概に私の感覚で否定することは出来ませんが、少なくとも私が関係する登山、トレッキングにおいては、今後、一応のチェック(今回のような場合ならトレッキングツアー会社にチェックを求めるという方法で)をした方が良いし、そういう現状に乗っかって登山をしているということに、私たちは無知でいるべきではない、と考えています。

s-DSCN7465.jpg

実は、今回出会った他隊のポーターに14歳の少年が数名混じっており、これは当人やトレッキング会社が意識していてもいなくても、国際的な常識では児童虐待となるでしょう。

教育を受けられない子供たちやその両親達には、そういう問題意識はありません。生きるのは辛いことと思うだけでしょう。そこから社会の階層が生まれ、貧富の差が生まれ、それが社会的なフラストレーションを増大し、近年のネパールがそうであったように多くの命を奪う事態に発展することもあります。

我々登山客は、無頓着に山に登るだけでなく、自分の登山がそういう悲劇につながっているかも知れないという意識を、ほんの少しだけでも持っていたいと、私は思いました。

ネパールで登山をすることは素晴らしいことですが、そこで関わる人達や子供たちの人権について、頭の中だけでも良いから、少しだけ心配りをしてみることも、決して自虐趣味ではないと思います。

『観光登山』は私的自由な行為であるし、そこには楽しさも達成感も確かにあると思いますが、その中に潜んでいる悲劇の種、つまりポーターとして働く子供たちの人権や未来について、外国人のおせっかいであろうとも、旅行者の偽善的同情であろうとも、見て見ぬ振りをせずに、現地のトレッキング会社に対して積極的に現実に具体的に発言したいと思うのです。




[ 2010/05/05 00:41 ] その他もろもろ | TB(-) | CM(0)
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